2010/04/15

隅田川の桜は江戸の華

 「桜橋」は、先に書いたようにエピソードに彩られた新しい橋です。


 隅田川の東岸の台東区と西岸の隅田区とに分けられて造られた隅田公園を直接繋ぐ隅田川架橋唯一の歩行者専用の橋で、上から見ると人が両手両足を広げた形になっています。隅田公園は関東大震災復興計画の一環でつくられ、昭和6年(1931)に開園しました。


 東京メトロ銀座線「浅草駅」からバスで10分ほどですが、歩けない距離ではありません。また東部伊勢崎線「曳舟駅」あるいは京成押上線「京成曳舟駅」から。


 橋の東側は浮世絵や芝居に見られる華やかな芸者と料亭の花町、有名な「向島」です。


 その東詰あたりの土手に「墨堤植桜の碑」と「桜勧進」の解説板が立っています。それによると、江戸時代の桜堤は今の隅田川神社の辺りだけでしたが、1800年代に、村人たちから、もっと桜の木を増やそうという声が上がり、将軍の命で植えられた100本の桜は、1880年頃には桜橋あたりまで植樹されたと書かれています。地元有志だけでなく勧進(寄付)を広く呼びかけてのことだったそうです。


 隅田川の桜の中心は、いま、桜橋から駒形橋の手前までの隅田川公園の桜です。ソメイヨシノ、ヒガンザクラ、エドサクラなど多種類の桜が花を競い合い、その数300本とも。


 橋がない頃、堤の下に鎮座する三囲神社(みめぐりじんじゃ)の大鳥居の上部が満開の桜越しに対岸から見えたと伝えられていますが、この大鳥居は歌舞伎の背景や浮世絵の題材となっています。

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